俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
無意識に、その名前を呟いてしまった。
すると、輝樹が横で「…それな!」と顔をぐいっと近付けてくる。
「あいつ、ハーフなんだよ」
「ハーフ…?!」
「父さん日本人、母さんフィリピン人。国籍も両方あるんだってよ」
「は…」
「だから!もし母さんの姓を名乗るなら、カタカナのはずだろ?『鈴代』はどこから出てきたんだ!…って話」
「………」
「それに『鈴代』になったとたん『リラ』が名前から消えてよ?…音宮・リラなずななのか、音宮リラ・なずななのか、え?『リラ』って名字なの?名前なの?どっち?と軽く混乱…」
「日本では、別にミドルネーム名乗らなくていいんだぞ」
そこはどうでもいい問題のような気がするが。
しかし…。
(………)
放心してしまう。
この突然の怒濤の展開に、意識どこかに飛びそうなぐらい。
父さん日本人、母さんフィリピン人のハーフ。
娘、音宮リラなずな。
音宮のおじさんは陰陽師、奥さんはフィリピン人。
なずなの父親も陰陽師、母親は…ホステスったっけ。
一気に繋がってしまった…。