俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
当てずっぽうで言ってみたら、本当だった。
日本舞踊の通り名…なるほど。
でも、それが依頼とどう関係して、なぜ鈴代の姓を名乗ってるかは、今はいいとして。
「なずながおじさんの娘ってことは…俺達、昔会ってるんだろ?」
「あ、まぁ…」
「『リラ』は、なずななんだろ…?」
「………」
親父はまたきょとんとしている。
それ、何のリアクション?
「…っていうか、よく覚えてたな?」
ほぉーと感心する親父に、またしてもガクッとさせられる。
何?この空気感の違い。
緊張感たっぷりで、意を決して尋ねたことなのに!
「な、何で教えてくれなかったんだよ!ふ、普通昔話とかしない?おまえらよく遊んでたんだよーとか何とか!」
「それもそうだったな。…いや、なずながここに来てた時のことをあまりよく覚えてなかったし」
「…そうだったの?」
「あいつ、ここに来てた頃は日本語全然わからなかったから、全然覚えてないらしいんだよ。俺のことでさえも『知ってるような気はするけど』っていう程度」