俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~

「『護られる』ということは…自分の無力さをひしひしと痛感させられることになるぞ。だから…」




それは、苦しくて…痛いんだ。

親父の表情が…そう言ってるような気がした。



そう感じ取ると、緊張感が溢れてきて、胸が張り詰めたような感覚にさせられる。



「…だから、そいつのために、自分にしか出来ないことは何か。それを常に考えておけ。…いいな?」

「………」



俺が言葉を発する間もなく。

親父は書斎を出ていく。

ドアを開けたその向こうには、忠晴が待っていて、二人で連れ立って行ってしまった。



(………)



一人、親父の書斎に残された俺。

その場に立ち尽くすしかなかった。



またしても、頭の中でぐるぐると回る。




自分を護ってくれる人のために。

自分にしか出来ないことは何か。

それを、常に考えて…。



親父が…何の話をしているのか、わからなかった。

でも、それを身を持って痛感することになるのは。

そう遠くない話に、なるのだった。



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