俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…何で拓狼さんのところに電話が来るの?」
「そりゃあ、ミッションを共にした仲間ですからねー?」
「俺だってラーメン奢ってあげた仲なんだけど」
「一杯じゃ足りないんじゃないんですか?それに、剣軌くんは彼の目の前でなずなをイジメてるから、ビビってるとか?…あ、今日なずなは?」
「そんなことないけどな。…なずなは、拓狼さんのお母さんとこにいるよ」
「あー。今日はレッスンの日でしたか」
《いつでも、電話して?》
この一言のみを告げて『彼』が電話してくる理由は、ただひとつ。
何か、聞きたいことがあったから。
しかし、『何』を聞きたかったのか。
ひょっとすると、『何か』を知ってしまったのか。
そこは、把握しておくべき部分で。
良からぬ方向に行かないよう、危惧する部分でもあった。
「…まあ、その御父様がこれからいらっしゃるんだから、聞いてみよう?」
すると、噂をすれば姿を現す。
店員に丁重に案内されてテーブルにやってくる、その姿を。
「遅くなってすまんな」
「お久しぶりです、橘社長」