俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
山の中の膨大な敷地を切り開かれて建てられた北桜学園。
幼稚園から大学のキャンパスまですべてこの敷地内にあり。
プールや運動場設備から、レストランも三つぐらいあり、全て完備されて、軽くひとつの街となっている、この学園。
取り敢えず、広い。
俺達を乗せた車は、高等部校舎最寄りの駐車場に停められた。
この校舎…久々だ。
しかし、懐かしの学舎に赴きを感じている場合ではない。
「…あ、顔認証システムどうにかなるかも」
綾小路室長が、自分のスマホを見て呟く。
「橘くんの証言から機器を割り出してみたら、型は古いモノだったみたい。今、VIPレディクラのメンバーの顔写真が科捜研に届いて、ロック解除の画像データを作成してる。出来上がったら、なずなのスマホに送る。…間に合うかな」
そう言いながら、顔を上げて俺の方をチラッと見る。
「画像データ間に合わなかったら、橘くん案でシクヨロ」
「は、はい…一か八かですが」
シクヨロって…結構お茶目な人だな。