名古屋錦町のあやかし料亭~元あの世の獄卒猫の○○ごはん~
第8話 飲み会②
さて、どう手助けすれば良いのやら。
どちらも一目瞭然なのに、何も言わずじまい。
なので、美兎は正面にいる美作に目配せするが、あちらも同じ心境か肩を落とされた。
「とーりあえず、注文どーする? 俺が適当に頼むぞ?」
「!……あ、ああ。頼む」
「わ、私もお任せで大丈夫です!」
ガチガチに固まり過ぎだ。先日再会した時はどうだったのかはわからないが、田城の話だと会話が弾んでいたはずなのに。
美兎達がいることで、逆に緊張感を煽ってしまったのだろうか。適当に言い訳して二人きりにさせようかと言う考えは、美兎的にはよくないと思っている。
この場合、風吹に美兎から話題を持ちかけよう。とりあえず、飲み物は全員イタリア産の瓶ビールになった。
「え……っと、不動さんはエンジニアなんですよね? エンジニアって色々あるじゃないですか? そう言うお話はあんまりお聞きしてなかったので」
「そーそー。この間、俺と湖沼さんと会った時もそう言う話しなかったよな?」
「私……もです」
やはり、していなかったのか。なら、話題としてはいい選択だった。
「え……と。アプリ開発関係のプログラミング……とか、です。どっちかと言うと、プログラマーで……すけど」
「固くなり過ぎだぞ、不動? お前の仕事は社内じゃ信頼されまくっているし、もっと自信持てって!」
「……痛い」
「悪い悪い」
わざと悪ノリして場を和ませる美作は凄い。田城も、少しだけ緊張がほぐれてきたのか、興味有り気に顔を輝かせていたから。
「アプリ開発ですか!? どんなのを作っていらっしゃるんですか!!」
「……興味、あるんスか?」
「ありますよ! 入れ過ぎなくらい、スマホとかPCにはダウンロードさせてます」
「……最近は。女性向けのソーシャルゲーム、ですね」
「色々手がけているんですか??」
「まあ。うちの会社、アプリなら何でも屋みたいなとこがあるんで」
「へー!」
打ち解けてる、打ち解けてる。
美作に目配せすれば、ぐっと親指を立てていた。
話が弾んでいる間に飲み物が到着して、四人で改めて乾杯したのだった。
そして、田城もだが風吹の飲みっぷりもなかなかのものであった。
「ぷはー! 直接瓶ビールで飲むとか久しぶり〜〜」
加えて、田城にしては珍しく酔いの回りが早かった。
ひょっとしたら、まだ緊張感があってなのかもしれない。止めようかと思ったら、美作から待てと目配せで止められたのだった。
「不動さんは〜〜、どんな女の子が好みですかぁ?」
「え?」
いきなり、どストレートに聞くとは。それだけ風吹が好きなのだろう。
まさか、自身が想われているとは知らないのに。
「おーおー? さっそく聞いちゃう? 不動、答えてやれよ」
「お……前!?」
「ねーねー不動さぁん」
年相応の可愛らしい猫撫で声だ。
この可愛いらしい仕草に、応えられない男はいるだろうか。否、いないだろうと美兎は思う。
風吹の好みが、田城だから。
「お……れ、は」
美作と一緒に、紡がれる言葉への期待感が上がっていく。
わくわくしながら待っていれば。不動は耳と首を真っ赤にさせながら、トロンとした目で待っている田城を真っ直ぐに見た。
「好み……知りたい、ですか?」
「知りたいですぅ〜」
「……じゃあ、田城……さんは?」
「わたし〜ぃ?」
そして、田城はにっこーと音が聞こえそうなくらい、顔をふにゃふにゃ笑顔にさせたのだ。
「……!?」
「わたしぃ、はあ。不動さん!」
「っ!?」
「だからぁ、気になるんです……ぅ」
言い切ったら、寝落ち。
仕事も最近ハードスケジュールだったから、余計に酔いの回りが早かったのだろう。
うつ伏せに寝てしまった田城に、風吹はオロオロし出してしまった。
「え、え、え!?」
「うん。不動、哀れ」
「……え?」
「ど、どうします? 注文したお料理とかまだですけど」
「うーん。とりあえず寝かせてあげよっか? 疲れもあっただろうし、田城さんの分はテイクアウトするとして」
と言ってたら本当に料理が来たので、美作は店員に頼んでテイクアウト用の入れ物と袋を用意してもらい。
田城は三人が料理を食べている間、規則正しい寝息をしたまま寝てしまっていて。
帰ることになっても起きず、どうするかと思っていたら。また、美作が思いついたようににんまりと笑った。
「不動。お前、妖なんだから……例えば、田城さんの匂いとか辿って送る事とか出来るか?」
「……出来、るけども。俺に送らせるのか?」
「いいじゃん、いいじゃん? 意識朦朧としてでも告白されたんだし、お持ち帰りよかまだ良いだろ? 起きたら、湖沼さんに住所聞いたことにしとけ」
「わ、私も口裏合わせします!」
「…………わかった。送る、だけで」
「起きたら、ちゃんと言え」
「……無茶言うな」
けれど、送ることに異論はないようで。風吹は田城を背負って、手にはテイクアウトの袋を持ってから名城線に向かうのだった。
「うまくいってほしいですね?」
「だな? 湖沼さん、楽庵で飲み直さない?」
「いいですね?」
なので、二人で界隈に向かうことにした。
どちらも一目瞭然なのに、何も言わずじまい。
なので、美兎は正面にいる美作に目配せするが、あちらも同じ心境か肩を落とされた。
「とーりあえず、注文どーする? 俺が適当に頼むぞ?」
「!……あ、ああ。頼む」
「わ、私もお任せで大丈夫です!」
ガチガチに固まり過ぎだ。先日再会した時はどうだったのかはわからないが、田城の話だと会話が弾んでいたはずなのに。
美兎達がいることで、逆に緊張感を煽ってしまったのだろうか。適当に言い訳して二人きりにさせようかと言う考えは、美兎的にはよくないと思っている。
この場合、風吹に美兎から話題を持ちかけよう。とりあえず、飲み物は全員イタリア産の瓶ビールになった。
「え……っと、不動さんはエンジニアなんですよね? エンジニアって色々あるじゃないですか? そう言うお話はあんまりお聞きしてなかったので」
「そーそー。この間、俺と湖沼さんと会った時もそう言う話しなかったよな?」
「私……もです」
やはり、していなかったのか。なら、話題としてはいい選択だった。
「え……と。アプリ開発関係のプログラミング……とか、です。どっちかと言うと、プログラマーで……すけど」
「固くなり過ぎだぞ、不動? お前の仕事は社内じゃ信頼されまくっているし、もっと自信持てって!」
「……痛い」
「悪い悪い」
わざと悪ノリして場を和ませる美作は凄い。田城も、少しだけ緊張がほぐれてきたのか、興味有り気に顔を輝かせていたから。
「アプリ開発ですか!? どんなのを作っていらっしゃるんですか!!」
「……興味、あるんスか?」
「ありますよ! 入れ過ぎなくらい、スマホとかPCにはダウンロードさせてます」
「……最近は。女性向けのソーシャルゲーム、ですね」
「色々手がけているんですか??」
「まあ。うちの会社、アプリなら何でも屋みたいなとこがあるんで」
「へー!」
打ち解けてる、打ち解けてる。
美作に目配せすれば、ぐっと親指を立てていた。
話が弾んでいる間に飲み物が到着して、四人で改めて乾杯したのだった。
そして、田城もだが風吹の飲みっぷりもなかなかのものであった。
「ぷはー! 直接瓶ビールで飲むとか久しぶり〜〜」
加えて、田城にしては珍しく酔いの回りが早かった。
ひょっとしたら、まだ緊張感があってなのかもしれない。止めようかと思ったら、美作から待てと目配せで止められたのだった。
「不動さんは〜〜、どんな女の子が好みですかぁ?」
「え?」
いきなり、どストレートに聞くとは。それだけ風吹が好きなのだろう。
まさか、自身が想われているとは知らないのに。
「おーおー? さっそく聞いちゃう? 不動、答えてやれよ」
「お……前!?」
「ねーねー不動さぁん」
年相応の可愛らしい猫撫で声だ。
この可愛いらしい仕草に、応えられない男はいるだろうか。否、いないだろうと美兎は思う。
風吹の好みが、田城だから。
「お……れ、は」
美作と一緒に、紡がれる言葉への期待感が上がっていく。
わくわくしながら待っていれば。不動は耳と首を真っ赤にさせながら、トロンとした目で待っている田城を真っ直ぐに見た。
「好み……知りたい、ですか?」
「知りたいですぅ〜」
「……じゃあ、田城……さんは?」
「わたし〜ぃ?」
そして、田城はにっこーと音が聞こえそうなくらい、顔をふにゃふにゃ笑顔にさせたのだ。
「……!?」
「わたしぃ、はあ。不動さん!」
「っ!?」
「だからぁ、気になるんです……ぅ」
言い切ったら、寝落ち。
仕事も最近ハードスケジュールだったから、余計に酔いの回りが早かったのだろう。
うつ伏せに寝てしまった田城に、風吹はオロオロし出してしまった。
「え、え、え!?」
「うん。不動、哀れ」
「……え?」
「ど、どうします? 注文したお料理とかまだですけど」
「うーん。とりあえず寝かせてあげよっか? 疲れもあっただろうし、田城さんの分はテイクアウトするとして」
と言ってたら本当に料理が来たので、美作は店員に頼んでテイクアウト用の入れ物と袋を用意してもらい。
田城は三人が料理を食べている間、規則正しい寝息をしたまま寝てしまっていて。
帰ることになっても起きず、どうするかと思っていたら。また、美作が思いついたようににんまりと笑った。
「不動。お前、妖なんだから……例えば、田城さんの匂いとか辿って送る事とか出来るか?」
「……出来、るけども。俺に送らせるのか?」
「いいじゃん、いいじゃん? 意識朦朧としてでも告白されたんだし、お持ち帰りよかまだ良いだろ? 起きたら、湖沼さんに住所聞いたことにしとけ」
「わ、私も口裏合わせします!」
「…………わかった。送る、だけで」
「起きたら、ちゃんと言え」
「……無茶言うな」
けれど、送ることに異論はないようで。風吹は田城を背負って、手にはテイクアウトの袋を持ってから名城線に向かうのだった。
「うまくいってほしいですね?」
「だな? 湖沼さん、楽庵で飲み直さない?」
「いいですね?」
なので、二人で界隈に向かうことにした。