名古屋錦町のあやかし料亭~元あの世の獄卒猫の○○ごはん~
第5話 情報屋と記者
殺されるかと思った。
それくらい、あの猫人は視線だけで妖術を使えるのかと思った程だ。
「ふふふ、ふふふ! 大袈裟ですよ、馨さ〜ん?」
「冗談やないでー、芙美やん!」
ただいま、界隈の妖電報名古屋支社にて。
たまたま来ていた、情報屋でありのっぺらぼうの芙美が一反木綿の馨の話を聞いてくれたのだ。
反省の意を込めて、今は白い布切れのような姿。一反木綿の本性になっている。馨が一度本性に戻ると数時間は人化出来ないので、煙草を吸えない戒めだ。
ただの布切れ。子供を襲うと言われる妖だが、現代日本でその手が通じるわけがないし。馨は襲うつもりはない。
人間の子供を食らう必要がないし、現代の界隈ではいくらでも美味いものがある。人間界でもそうだ。
とりあえず、手足の部分みたいな布切れを使って、ドリップマシーンで淹れたコーヒーを飲む。口の箇所も一応あるのだ。
「けど〜、大将さんをスクープにしないで正解ですよ〜? 美兎ちゃんには本気の本気だから〜、もしやっちゃってたら地獄の業火を呼んだかもしれないですね〜?」
「うっわ! ほんま、せんで正解やったわ!?」
芙美はあの女性、美兎と言う人間の女性のことを芙美に簡単に教えてもらった。
覚の御大の子孫。
座敷童子の真穂が唯一守護についた人間。
とんでもない人物だ。
スクープにしたい内容だが、真穂までいると後が余計に怖いので断念したが。
かなり前に、スクープにしかけてこの建物を破壊されかけたのだ。
そんな彼女が憑く相手とは、よほど魅力的な霊力の持ち主なのだろう。
「でも〜。あのお店で、人間と妖が結ばれる話が多いんですよね〜?」
「……ほぅ?」
その噂は聞きかじっていた。
今目の前にいる情報屋の芙美が、酔っ払った時に広めたらしいので信憑性は薄かったが。
素面の今なら、本当のことが聞けるのだろうか。
「美兎ちゃんでしょー? 私でしょー? あと、火車の風吹さんも」
「……えらい、いますなあ?」
「あそこは縁を繋いでくれる場所ですけど〜」
「おん。芙美やんの馴れ初め聞いても?」
「記事にしちゃいます〜?」
「せんせん」
もししてしまったら、芙美経由で火坑に繋がり。結局は、楽庵に出禁させられることになるだろう。
それだけは避けたかった。
「えっとですね〜?」
そこから聞かされた内容は。
こちらが、甘ったるい金平糖を噛み砕くような。甘々のものばかりで。
こりゃ、記事には出来ないと馨は納得したが。とりあえず、赤鬼の隆輝が勤務する人間界の洋菓子店が絶品とも教わり。
久しぶりに奴に会いに行くついでに、取材しに行こうと。人化出来るようになってから、芙美を見送ったのだった。
それくらい、あの猫人は視線だけで妖術を使えるのかと思った程だ。
「ふふふ、ふふふ! 大袈裟ですよ、馨さ〜ん?」
「冗談やないでー、芙美やん!」
ただいま、界隈の妖電報名古屋支社にて。
たまたま来ていた、情報屋でありのっぺらぼうの芙美が一反木綿の馨の話を聞いてくれたのだ。
反省の意を込めて、今は白い布切れのような姿。一反木綿の本性になっている。馨が一度本性に戻ると数時間は人化出来ないので、煙草を吸えない戒めだ。
ただの布切れ。子供を襲うと言われる妖だが、現代日本でその手が通じるわけがないし。馨は襲うつもりはない。
人間の子供を食らう必要がないし、現代の界隈ではいくらでも美味いものがある。人間界でもそうだ。
とりあえず、手足の部分みたいな布切れを使って、ドリップマシーンで淹れたコーヒーを飲む。口の箇所も一応あるのだ。
「けど〜、大将さんをスクープにしないで正解ですよ〜? 美兎ちゃんには本気の本気だから〜、もしやっちゃってたら地獄の業火を呼んだかもしれないですね〜?」
「うっわ! ほんま、せんで正解やったわ!?」
芙美はあの女性、美兎と言う人間の女性のことを芙美に簡単に教えてもらった。
覚の御大の子孫。
座敷童子の真穂が唯一守護についた人間。
とんでもない人物だ。
スクープにしたい内容だが、真穂までいると後が余計に怖いので断念したが。
かなり前に、スクープにしかけてこの建物を破壊されかけたのだ。
そんな彼女が憑く相手とは、よほど魅力的な霊力の持ち主なのだろう。
「でも〜。あのお店で、人間と妖が結ばれる話が多いんですよね〜?」
「……ほぅ?」
その噂は聞きかじっていた。
今目の前にいる情報屋の芙美が、酔っ払った時に広めたらしいので信憑性は薄かったが。
素面の今なら、本当のことが聞けるのだろうか。
「美兎ちゃんでしょー? 私でしょー? あと、火車の風吹さんも」
「……えらい、いますなあ?」
「あそこは縁を繋いでくれる場所ですけど〜」
「おん。芙美やんの馴れ初め聞いても?」
「記事にしちゃいます〜?」
「せんせん」
もししてしまったら、芙美経由で火坑に繋がり。結局は、楽庵に出禁させられることになるだろう。
それだけは避けたかった。
「えっとですね〜?」
そこから聞かされた内容は。
こちらが、甘ったるい金平糖を噛み砕くような。甘々のものばかりで。
こりゃ、記事には出来ないと馨は納得したが。とりあえず、赤鬼の隆輝が勤務する人間界の洋菓子店が絶品とも教わり。
久しぶりに奴に会いに行くついでに、取材しに行こうと。人化出来るようになってから、芙美を見送ったのだった。