あの日の帰り道
朝の9時から出勤した私は夕方18時になってその異変の理由を知った。
「伊藤さん、もう帰っていいけど相沢くんと一緒に帰ってね」
わざわざ厨房内に来て、私のそばに来てこっそりと帰宅を促す店長の言葉。
………相沢くんと一緒に??
妙な指示を受けて思わず店長を凝視する。
理由を聞こうと口を開きかけたが、すぐ店長に人差し指を目の前に出されてシーッと静かにするよう促された。
…………何事!?
頭の中に疑問符が浮かぶ私のそばに相沢くんが来て、相沢くんと店長が無言で謎の相槌を打つ。
すると相沢くんが私の背を押して帰宅を促した。
……なんなのっ!?!?
なんで店長も相沢くんも声を潜めてるの??
そしてふと気付く。
今日、昼に出勤してきた相沢くんは21時あがりのはずだ。
なのになんで一緒に帰るの!?
その異変に気付き、思わず相沢くんを引き止めた。
が。
私が口を開く前に相沢くんが先に話しだした。
「謙次達がすぐ裏口に来るから、それまでに咲季は着替えて控室にいて」