あの日の帰り道
………上杉くん!?なんで!?
予想してない名前が出てきて驚いて相沢くんをじぃっと見つめる。
すると。
相沢くんが困惑しながら謝ってきた。
「ごめん咲季。俺のせいで………。
俺が咲季と一緒にいたから……。
あいつ、俺から咲季を探すつもりだ」
頬に相沢くんの手の温もりを感じつつ、相沢くんの言葉を解釈しようとした。
「……金田が店に来てる」
自分で解釈する間もなく告げられた言葉に一瞬で頭が真っ白になった。
…………金田?
「俺が更衣室の前に立ってるから咲季はすぐ着替えて」
更衣室?着替え?
……金田。
途端に記憶が蘇る。
着替え中に襲われかけた嫌な記憶。
「咲季」
少し痛いくらいに相沢くんに抱きしめられてようやく思考が追いついた。
「………あ、相沢くん」
やっと出た微かな声。
その声を聞いて、相沢くんは腕の力を抜いた。
「大丈夫だから。すぐ着替えられる?」
目線を合わせて心配する相沢くんの顔を見て安心した私は頷いてから優しい腕の中からすり抜けて更衣室へと向かった。