あの日の帰り道
御礼を言った時に相沢くんをチラリと見て気付いた。
相沢くんが私のほうを見ていなかった事に。
ずっと反対側の窓の方を見ていた。
………もしかして怒ってる?
私が不安げに相沢くんを見ていたからか、上杉くんがまた私の頭を撫でながら声を潜めて話かけてきた。
「晃司なら心配しなくて平気だよ。
コイツは自分に腹が立ってるだけだから放っておいてやって」
私のせいで?
金田に目をつけられたから?
上杉くんの言葉に私は更に顔を曇らせた。
すると突然上杉くんが声を張り上げた。
「咲季ちゃん泣かないで!
晃司なんて忘れて俺の彼女になってよ」
両頬を上杉くんの手で包まれ
まだ泣いてもいない涙を拭う仕草と言葉に戸惑って身動きしないでいたら急に後ろから抱きしめられた。