あの日の帰り道


傷を見ようとするが彼女は立ちあがろうとしていた。



けど足に力が入らないようで立ちあがれない。



「き、救急車!呼ぼう!」



テンパった私が叫ぶと女の子が笑いだした。



「大袈裟だよ。平気。親に電話して来てもらうから」



彼女はスマホを取り出してすぐに電話をかけた。

私は倒れたままの彼女の自転車を立ち上げて歩道のガードレールに立てかけた。

倒れ方が悪かったのか、前輪が歪んでいるように見えた。



自転車をそのままにして彼女の方を見ると少し困ったような顔をしていた。



「………連絡ついた?」



気になって聞くと苦笑いの彼女。



「誰も出ない」



「じゃあやっぱり救急」
「いや、それは呼ばないでいいから」


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