あの日の帰り道


「あ、うん、ほら、女の子の日でちょっと貧血気味っぽいというか……」



恥ずかしさMAXな言い訳だが、そう話せば絶対にこれ以上は心配しないと思った。


思った通り、相沢くんは面食らって恥ずかしそうに視線を逸した。



「そ、そっか。ごめん、変な事聞いて。じゃあこれ食べていいかな?」



私が作ったサンドイッチを食べてくれる。

そう言ってくれた事が嬉しかった。



「うん、ありがとう。……残飯処理させちゃってごめんね」



可愛いげのない言葉を付け足してそそくさと休憩室を後にした。



が。



休憩時間はまだ15分もある。



相沢くんだって私が休憩に入った時間くらい気付いてるはずだ。



露骨に避けてるのバレバレだよね……。



かと言って、他に休む場所もなく、早目に厨房に入るとちゃんと休め!と店長に追い返されそうだし。



あ。そうだ。

今朝の彼女との事で出勤時間ギリだったから自転車の鍵をかけ忘れていた。

着替えた時に自転車の鍵が無い事に気付いたんだった。



自転車が盗まれたら大変だ。

唯一の私の愛車。



その事を思い出したから裏手の従業員用自転車置き場に向かった。


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