あの日の帰り道
我慢の限界の果て
「お先に失礼しま〜す」
「伊藤さんお疲れ様〜」
挨拶をすると店長の声が聞こえたのでさっさと厨房を出た。
今日は色々と疲れたな……。
ふぅ、とため息をついていたら厨房のドアが開いて相沢くんが出てきた。
「あ、」
「咲季、あいつから何か聞いた?」
私を見つけた途端、腕を掴んで問いかけられた。
いつもの口調の相沢くんだから、つい、気が緩みそうになった。
けど。
掴まれた腕を振り解いて後退る。
「うん。あの子、相沢くんの彼女でしょ?」
わざとハッキリ告げた。
「………ち、違」
「バイトが休みの日くらい彼女の看病してあげなよ」
面食らった様子の相沢くんにわざとそう告げてから更衣室に逃げ込んだ。