あの日の帰り道


ヘルメットを被せられ、顎下のベルトをカチッと嵌めるとそのまま4度目のキスをされた。



「……流石に玄関前でこれ以上イチャつけないからね」



そこでやっと自分が立っていた場所を理解した。



思わずきょろきょろと辺りを見回すが、日曜の早朝にはまだ歩いてる人を見掛けなくてホッと胸を撫で下ろした。



「乗って」



その間にバイクに跨がった相沢くんが手を伸ばして私の頬を撫でながら誘う。

その手の指が唇をそっと撫でるから、慌てて後ろに跨がって相沢くんにしがみつく。



「行くよ」



ヘルメットを軽く小突いてからバイクは日曜の早朝に小気味よくエンジンを吹かして走り出した。


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