あの日の帰り道
その背後では山本弟くんと友達3人が金田の前に立ちはだかっていた。
「マジでお前ヤバすぎるだろ……」
一つ年上の金田を相手にしても強気の山本弟くん。
山本弟くんがそのまま盾となりながらスマホを取り出して電話をかける。
「………もしもし、うん。今目の前に金田がいる。咲季ちゃんが捕まる直前で間に合ったけど金田はどうする?捕まえて警察突き出す?次の駅で降ろす?」
山本弟くんは金田を睨みながら電話の相手と相談してる。
「伊藤さん、もう大丈夫だから」
相沢くんの元カノさんが心配そうに私を見つめて手を握りしめてくれていた。
そこで私は恐怖で身体が震えていた事に気付いた。
なんで彼女が?
そう思いながら彼女と目を合わせると、大丈夫と言うような微笑みを向けられて強張った身体の力が抜けていくのがわかった。