あの日の帰り道



一瞬、私に話しかけられたのかと思って慌てて横にいる上杉くんを見るが、上杉くんは私を見ていなかった。



上杉くんの前に座る山本弟くんがゲホッとむせて焦りだした。



「そ、な、なんでわかった?」



「そりゃね〜。晃司がお前に電話したのに横で彼女の声が聞こえたら普通に気付くだろ?」



………?

相沢くんは彼女でなく山本弟くんに連絡したの?



「しょ、しょうがないでしょ!伊藤さんのピンチだって聞こえたから吃驚したのっ!」



心なしか彼女が少し照れた感じがした。



「で、いつから?彼女がいるとは聞いていたけどまさかその彼女が俺らの顔見知りだとは思わなかったなぁ?」



そんな事はどうでもいいと上杉くんは更に追求した。

確かに以前カラオケ行った時に山本弟くんは彼女がいると聞かされた。



「………こいつの誕生日からだよ」



山本弟くんも上杉くんには誤魔化せないのか素直に白状した。


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