あの日の帰り道
「わ、私がしばらくは内緒にして欲しいって言ったからだよ。将也は二人に言おうとしてたのに私が嫌がったの」
目の前の彼女が顔を赤くしながらも山本弟くんを庇う。
「ふぅ〜ん?まぁ別にいいけどね。深山はまだ晃司が好きなのかと思っていたからさ」
上杉くんが告げた言葉に反応して慌てたのは山本弟くんと相沢くんだった。
「ちょ、謙次っ!」
「だからお前には伏せたかったんだよっ!」
焦る二人をよそに彼女は上杉くんを睨みつけながら口を開いた。
「謙次にそう言われると思ったけど、まさか伊藤さんの前でわざわざ言われるとは思わなかった。
………もしかして伊藤さんは私が晃司と付き合ってたこと知ってるの?」
彼女からはっきりと付き合ってたと宣言されて思わず動揺する。