あの日の帰り道
「それより、まだ着替えてないけど時間大丈夫?具合悪くて帰るなら店長に言っておくけど?」
私服のまま立ちつくす大島さんに相沢くんは声をかけた。
……仕事するならさっさと着替えろ?
帰るならさっさと帰れ?と言ってるように聞こえるのは私だけだろうか?
……もしかして私と彼女の話を聞いていたのかな?
「それなら店長には私が言っておくよ。相沢くんより先に休憩終わるからね」
あえて彼女に聞こえるように相沢くんに声をかけた。
「だ、大丈夫です。すぐ着替えてきます」
大島さんは時計をチラリと見て慌てて休憩室を出て行った。
パタパタと通路を走る音が聞こえる。
ガチャと更衣室のドアを開ける音が聞こえた後にやっと相沢くんは大きなため息をついた。