あの日の帰り道


閉店間際の時間は客も少なくてスタッフも少ない。



近隣の女子高に通う大島さんは平日は20時あがりの為既に帰宅してる。



ホールにはパートの田中さん一人だけ。

店長が事務所に控えているけど、他は洗浄のおじさんと厨房にいる相沢くんと私だけ。

平日の21時過ぎはよくこのメンバーになるから、おじさんが洗ったグラス類を私がホールに行って片付けるのが常だった。



「咲季ちゃん、ちょっと…」



レジそばに立つ田中さんがその場からこっそりと私に声をかけてきた。



何の疑いもなく田中さんのそばに立ち片付けるフリをしながら話を聞く。



「あのさ、私は咲季ちゃんの味方だけど……」



珍しく言い淀む田中さんに少し不安が過る。


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