あの日の帰り道


「あの時は本当にありがとうございました。……お礼にこれあげる」



まだ手をつけてなかったチョコケーキを相沢くんのお昼ごはんの横に置いた。



「そのケーキも店長に貰ったやつでしょ?モテるって大変だね」



またまたびっくりした。



搬入時の衝撃で見た目がちょっとだけ崩れたチョコケーキ。



店で出せないから食べていいよと休憩に入るときに店長がくれたものだ。
けどそれも皮肉るなんて思わなかった。



「相沢くんって結構嫌味言うんだね?」



ある意味、感心したのに。



「事実を言っただけだよ」



笑いながらかわされた。



「……それだと同じケーキを貰ったパートの田中さんもモテることになるね」



私も事実を伝えると相沢くんがまた笑った。



「それは知らなかった。ごめん」



謝りながら笑ってる。



相沢くんが笑ってるの初めて見た。



「私、相沢くんが笑ってるとこ初めて見たよ。やっぱりモテる人って格好いいね。
そんな人を一瞬でも彼氏に出来た私はラッキーだったかな?」



にっこりと営業スマイルでわざとナンパされた時の話をしてみた。


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