あの日の帰り道


「うん。でもここ寒くない?ちゃんと温かくして待ってて」



声を掛けながら頭を撫でていた手が頬に滑り落ちて首筋に触れた。



その感触に思わず身震いしてしまう。



「あ、あの相沢くん戻らなくて平気なの?」



身震いを誤魔化そうと適当に声を出したが裏返ってしまった。



あまりの恥ずかしさについ顔を背けてしまう。



『男なら誰でも……』



こんな時に限って山本弟くんの言葉を思い出してしまった。



その意味が分からない程バカでは無い。



映画や小説で読んだり見たりした程度だがちゃんと現実的に分かっているとは思ってる。



だから、最近は相沢くんに触れられるとすぐに意識してしまう。



相沢くんと…………。



そう考えても嫌じゃない。



好きな人とそうなるのは嬉しいと思うから。



でも。



卒業後の事を考えるとどうしていいのかわからないだけ。


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