あの日の帰り道


「咲季?どうした?」



テーブルに突っ伏したままの私の頭を撫でながら相沢くんが声をかける。



まさか相沢くんのせいで厭らしい妄想したなんて言えるわけない。



慌ててさっきまでの自分を思い出す。



「………明日のバイト。
相沢くん休みだったんだね」



顔を隠したままでそう問いかけた。



すると頭を撫でていた相沢くんの手がピクりと動きを止めた。



「………知らなかったの?」


「……うん」


素直にそう答えると微妙な間が空いた。



「………キャンセル出来ないからね」



キャンセル?



それは今日の仕事が終わったあとのお出掛けを意味するのはわかった。



………なんで今日の話?
私は明日のバイトが休みなんだねと聞いただけなのに?



もしかしたら明日、相沢くんがバイト休みだからお出掛けが夜遅くなっても時間を気にする必要が無いから?


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