あの日の帰り道
「咲季?」
その場で立ちすくむ私を見てか、相沢くんの声が聞こえた。
いつものように「お疲れ様〜」と声を掛けながら歩き出せばいいだけなのにそれが出来ない。
初めての彼氏とのクリスマスなのに、これじゃ拒否ってるように思われちゃうじゃん!
何度も心の中で叱咤して自分に言いきかせるが身体が動かない。
「咲季?」
相沢くんの声がまた聞こえた。
さっきと変わらない位置から聞こえた声。
気のせいか、さっきより不安げな声に聞こえた気がしたから気持ちが焦りだす。
このままじゃお出掛けをキャンセルしたいんだと思われちゃうっっ。
嫌じゃないのに。
相沢くんに嫌われたくないのに。