あの日の帰り道
「相沢様、こちらにご記帳お願いします」
横では相沢くんが差し出された紙に記入しはじめた。
私はお茶を飲みながらそちらを気にしつつもなんとなく見ないように振る舞った。
それにしても、レストランだと思った店内は明らかにレストランではなかった。
もう食事は無い、ってことは来るのが早い時間なら食事はあったのかな?
どう見てもレストランじゃないし私の見た感じだと映画で見た高級ホテルのロビーが小さくなったような雰囲気………。
そう思った瞬間にざわつく胸の内。
でも、気を逸らそうと辺りを見るとライトアップされてる中庭が気になった。
「中庭はいつでも出入り出来ますからいつでも撮影してくださいね」
私の視線に気付いたからか、相沢くんが記帳してる時にオーナーさんが私に声をかけた。
「ありがとうございます。後で拝見させて頂きます」
ニコリと営業スマイルで答えるとオーナーさんも笑顔を返してくれた。