あの日の帰り道



「……お店の?相沢くんが用意してくれたの?」

「ここで食べようと思ってね」



確かにお腹は空いていたけどそれよりも、コンビニで買うとかでなく、相沢くんがバイトの終了間際に調理していたのを見ていたから余計に嬉しかった。



「相沢くん、せっかくだからお皿に盛り付けようよ。レンジあるから温められるね」



嬉々として相沢くんの横に立ちパックを手に取りキッチンのレンジにセットしてからお皿を探す。



パタパタとキッチン周りの収納戸を開けて見ると、流しの上の戸棚にお皿やグラスが並んでいた。



「これでいい?」



いつの間にか横に来てた相沢くんがすぐに高い位置のお皿を取ってくれた。



何気ないその行動が嬉しくてつい顔が綻びる。



まるでさっきまでいたバイトの厨房に立っている感覚になる。


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