あの日の帰り道
「相沢くん、これつまらない物ですが……
貰ってくれるかな」
後ろ手に隠し持っていた小さな包みを相沢くんに差し出す。
用意していたクリスマスプレゼントを差し出して中庭の話を逸らす。
「俺に?……ありがとう。開けてみていい?」
嬉しそうに受け取ってくれる相沢くん。
「うん。………でも相沢くんは持ってる物だし………好みとか合わなかったら誰かにあげて」
ぐだぐだと言い訳してる間に包みを外してプレゼントを確認する相沢くん。
「咲季から貰っ物を他の奴に渡す訳ないだろ?明日から使うよ。ありがとう」
私が渡した革製の手袋をすぐ装着して喜んでくれた。
バイクに乗る人は冬は革製手袋でないと手が凍えると山本弟くんに聞いたから。
冬場に毎日バイクに乗ると革製の手袋もワンシーズンで結構傷むらしい。
そう聞いてあえて手袋にした。
きっと相沢くんなら使ってくれる。
だから………
今シーズンだけ保てばいい。
そう思って買ったプレゼントを喜んでくれる相沢くんを直視出来なかった。