あの日の帰り道

無防備な彼女




「ちょっと待って」



私のプレゼントに喜んでくれた相沢くんがそう声をかけてバッグからリボンのついた小さな包みを持ってきた。



「俺のも受け取って。気に入らなかったら捨てて」



そう冗談を言いながら手渡してくれた包みを開けると中には小さな石のついたネックレスが入っていた。



綺麗な水色の石。

………アクアマリン?



確か……誕生石を貰うと幸せになれるんだっけ?



どこかで聞いたうろ覚えの不確かな情報。

でも、嘘でも何でもいい。



相沢くんがくれた物だから。



幸せになれる。

もしそれを思ってこの石を選んでくれたなら………。



そう考えると自分の渡したプレゼントに喜ぶ相沢くんに申し訳なくて胸が苦しくなった。


< 212 / 248 >

この作品をシェア

pagetop