あの日の帰り道

崩れ落ちる




「そういえば、咲季の誕生日っていつ?」


ふいに聞かれた質問に、首にかかったネックレスの石を握りしめた。



「3月ってのは聞いてたけど、日にちまで知らなかったから」



少しバツが悪そうに言う相沢くんを見たら素直に答えていた。



「16日だよ」



ネックレスから手を離して、相沢くんが淹れてくれた紅茶を口にした。



お風呂上がりの身体が温かいうちに早目に寝ようと言われたけど、まだ23時という時間だったから相沢くんに先に寝てと言った。

すると相沢くんが私をソファに座らせて自分の上着を私に掛けてからティーパックで紅茶を淹れてくれた。



その気遣いにつまらない疑問が浮かぶ。



本当に相沢くんは高校2年生なのだろうか?


クラスの男子と比べても同じ高校生とは思えない。

うちはそれなりに偏差値の高い学校だからクラスの男子は正直皆んな地味。

ほぼ眼鏡男子ばかりで体育で目立つ男子はあまりイケメンでなくてもすぐ人気が出るようなつまらない学校だ。


なのに相沢くんや上杉くんはモテるはずなのに意外と周りに女の子がいない。

きっと無言の圧力で女子が近寄れないんだろうな。

相沢くんと出会って最初の頃、私も相沢くんには話しかけにくい雰囲気を感じていたのを思い出した。


学校の制服を着て上杉くん達と話してる姿は普通の高校生なのにな……。


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