あの日の帰り道
「じゃあ、咲季の誕生日にまた来ようか?」
嬉しそうな顔の相沢くんが何気に言った。
私がここのコテージを気に入ったと言ったから。
だから誕生日を聞いたの?
それでまた来ようと誘ってくれたの?
……私の為に?
その嬉しいはずの誘いが胸を絞めつける。
私は気付かれないように、返事をせずにニコリと作り笑いをした。
そして。
「相沢くんお茶ありがとう」
違う意味の危険を感じて話を切り上げようとソファから立ち上がった。
「やっぱり今日は大人しく寝るよ。私が起きてると相沢くん寝てくれないでしょ?」
わざとからかい気味に言ってみた。
なのに。
「………咲季が寝ても俺は眠れないよ」
そっぽを向いて呟く相沢くん。