あの日の帰り道


その言葉がソファから立ち上がった私の動きを止める。



………これが私と相沢くんの差。



私は相沢くんが好きだけど離れようとしてる。

でも相沢くんはいつも私の事を考えてくれてる。



だから私が甘えるといつもすぐに受け止めてくれるのに……。

私は彼を受け止められない。



受け止めたい気持ちがあるだけで結局何もしてあげてない。



「………ごめん。変な事言って…。
温かいうちにベッドに入ろう」



私が立ったまま持っていたカップを取り上げてすぐに片付ける彼の姿が、少し淋しそうに見えた。



その姿を見つめたまま動けない私。



また相沢くんに謝られた。

相沢くんが素を見せてくれてるのに何も言えなくて……結果、相沢くんが謝る。




私が自分の素を相沢くんに見せないから。


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