あの日の帰り道
冷えたベッドに下ろされたことに気付いて
途端に恥ずかしくなる。
でも、相沢くんの浴衣を握った指を外されると急に不安が込み上げてきた。
「……あ…相沢く……」
不安からか、寒さからか、勝手に身体が震えだす。
「……大丈夫。何もしないから安心して」
さっきと違って不安そうな顔の相沢くんが身体を離す。
相沢くんの温もりが感じなくなった途端に震えが止まらなくなり恐怖感が襲う。
「……やだ……お願い、一人に…しないで」
必死に声を出して相沢くんを求める。
「大丈夫。すぐ近くにいるから」
そう言って唯一繋いでいた私の手を離そうとするから必死に訴えた。
「やだ……寒い、の…相沢…く…お願…」
声を出したいのに、寒さでうまく口が動かない。
でも。
また相沢くんが抱き締めてくれた。
「……本当に…寒いだけ?」
「……うん……」
抱き締めらて相沢くんの体温を感じると次第に震えが落ち着いてくる。
離れたくない。
そう思って再び相沢くんにしがみつく。