あの日の帰り道



「……相沢くんが呼んでたから目を開けただけだよ?」


ん?

確かに…寝たつもりはなかったのにな……。

でも私なんかが倒れるわけない……よね?



「……でもじゃあなんで相沢くんは怒ってたの?」



私を助けてくれたのに。

やっぱり可愛いなんて言ったからかな。



なんて気楽に考えてたから異変に気付くのが遅れた。



「……………」



私の何気ない問いかけが暖まりかけた場の空気を冷たくした気がした。



何も言わない相沢くんの戸惑いを感じた途端に不安になる。



「……相沢くん……」



次第に沈黙が怖くなって相沢くんの顔を見上げると辛そうな表情が垣間見えた。

でも視線が合うとぎこちなく微笑んで私を安心させようとする。





…………自分を責めてるの?





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