あの日の帰り道



「………咲季は……状況分かってる?」



さっきより落ち着いた声が聞こえた。



「………うん」



相沢くんの言う状況が、どの話しの状況を指しているのかは分からないけど、今ならどの状況にも怯まない自信がある。


ベッドの中で相沢くんに抱きつきながら、抱きしめて欲しいと思ってる今の状況の事だとしても。



「………本当に分かってる?」



再度、念押しされたから素直に言った。



「……離れたくない」



そう呟くと少し間を置いてから相沢くんが動こうとした。

反射的に回した腕に力を込めて離れまいとした。



「………咲季、少し後ろ下がってくれる?ベッドから落ちそうなんだけど」


「あ……ごめん…」


言われた通りに相沢くんから離れて後退すると冷たいベッドに体温が奪われる。


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