あの日の帰り道
私は父の先妻の娘だ。
私の母親は、父とデキ婚した。
母が私を妊娠したから結婚したのだが、仕事熱心な母は私を産むとすぐに仕事復帰した。
0歳の私を預けて仕事三昧。
私が熱を出しても無理に預けたらしい。
見かねた父が母に言い寄ると母は私を置いて家を出た。
だから本当の母親の事は何も覚えていない。
そして、父は私が2歳になる頃に再婚した。
それが今の義母だ。
父と義母は互いに子連れ再婚同士。
義母には2人の息子達がいた。
私より6つ上の長男の光と、
5つ上の次男の昴。
兄弟2人も義母も本当の妹,娘のように可愛いがってくれた。
けど父は、どんどん私を煙たがっていった。
どんどんと産みの母に似ていく娘だから。
『甘やかすとロクでもない娘になる』と言って次第に私だけが厳しく育てられた。
優しい義母と兄達は何度も父に抗議してくれたけど、そのせいで逆にどんどん厳しくされてしまったから次第に義母も兄達も何も言えなくなった。
私も優しい義母と兄達に迷惑かけたくなくて必死に耐えた。
でも『女に余計な知識は必要ない』と、兄達が行った私立の中学でなく、地元の公立中学に行かされた。
その頃は2人の兄達は大学生と受験生。
仕方ないと割り切ったけど、中1の最初の進路指導の時に『女は大学なんて行かなくていい』と父が宣言した。
それならと、勉強をしなくなって成績が下がると父に『俺を馬鹿にしてるのか!』と一度だけ手を上げられた。
それからは大学受験をしないけど勉強を頑張る事にした。
私のせいで義母や兄達に迷惑かけたくない一心で。