あの日の帰り道
その話しを、相沢くんは光兄から聞いたようだ。
「今年、祖父が亡くなって四十九日の日曜にバイトを休んだんだ。
色々とバタついてたから、弟が図書館で借りっぱなしだった本を俺が閉館間際に返しに行った時に咲季を見かけたんだよ」
私を抱きしめて頭を撫でながら話し続ける相沢くん。
「咲季は朝からバイトだったのに仕事終わりに図書館で勉強してたのが凄いなって思った。
でもその日は朝からずっと雨が降ってたんだ。
わざわざ雨の日に、バイト終わりに図書館で勉強してる咲季が気になって見てた」
暗い雨の夜道に一人で帰る私を心配した相沢くんは服が濡れてるのにマックに寄って勉強しだした私に驚いたそうだ。
私に話しかけるでもなく夜中に女の子を一人に出来なかった相沢くんはそのまま私を見守ってくれてた。