あの日の帰り道
「それを光さんに見つかったんだよ」
苦笑いの相沢くんが光兄の名前を出す。
何気に見た目が目立つ相沢くんだからね。
「光さんに声をかけられて焦ったけど、光さんも俺の事監視してたんだって言って謝られたよ」
笑いながら話す相沢くんに呆れた。
「光兄が相沢くんを監視っ!?!?」
「そりゃそうだろ。大事な可愛い妹のそばに不審な男がいたんだから」
私の頬を撫でながら、さも当然のように話す相沢くん。
「本当は、光さんは咲季と話したかったんだよ」
そう告げられると私は返す言葉が無かった。
皆んなに迷惑かけたくなくて……。
義母と兄達とも全く話さなくなったから。
優しい義母と兄達は陰ながら私を助けようとしたから。
それがバレて義母や兄達が父と喧嘩してほしくなかったから。
あんな父と再婚してくれた優しい義母が耐えきれなくなって離婚するかもしれない。
優しい家族に……
話せなくてもそばにいて欲しかった。