あの日の帰り道
「……相沢くんって凄く格好いいんだね」
いつもは厨房で帽子を被ってる姿と夜も更けた暗い帰り際の姿しか見ていなかったから、陽の光を浴びて茶色く見える柔らかそうな髪がイケメン度を上げていた。
しみじみと眺めながら呟いたからか、私の声を聞いた相沢くんは面食らった顔をしたかと思ったらその後口元を手で隠した。
「急にそう言われても…………」
あ、照れた?
………ちょっと可愛いかも。
なるほど。格好いいのに母性本能をくすぐるタイプか。
その姿を見て思わずクスッと笑ったら、逆にジッと見つめるられた。
「伊藤さんも、いつも可愛いけど今日は誰かとデートにでも行くような格好だね?」
……デート?
思わず自分の格好を見下ろした。
動きやすいシンプルなワンピに日除けと冷房冷えをカバーする薄手のボレロ風なシャツだけ。