あの日の帰り道


唖然とする私に、後から来た上杉くんが背中を軽く押した。



「咲季ちゃんは晃司と一緒に乗ってね」



促されながら上杉くんがコソッと呟いた。



『今日は晃司の誕生日だから一緒に祝ってあげて』



そう呟かれて思わず上杉くんを凝視した。



にっこりと微笑む上杉くんはそのまま何事もないように話を続けた。



「スカートだけど跨げるよね?乗ってる時にスカートがめくれないように気をつけてね」



相沢くんの誕生日?

それなら祝うのは納得だけど、彼女と一緒のが良いはずだよね?

あ、まだ彼女じゃないのかな?

だとしても、なんで私が!?!?



急に彼女の代役を頼まれた気分になってテンパる。



「う、上杉くん、私…」



「ほら、乗って乗って。ちゃんとスカートが広がらないようにしないと」



グイッと相沢くんのバイクまで背中を押されて、
相沢くんと目が合って、
楽しそうに微笑んでる相沢くんを見て、
私は大人しく跨ぐしか出来なかった。


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