あの日の帰り道


「…………」


途中、後ろから自転車が近付いてきたのはわかっていたが、普通に抜かれるだけだと思って気にしてなかった。



まさか並走して声をかけてくるとは……。



しかも、隣に来た自転車の彼の顔を見て驚いた。



「……多分、山本くんが知らない学校だと思うよ」



わざと名指しで言った。



「えっ!?俺の事知ってるの?
……前にも声かけたっけ?」



「山本竜也くん。中3の時の担任は佐々木先生。野球部だったけどサボってばかりの幽霊部員」



「えっ!!なんで知ってるの?……ちょっと怖いんだけど…」



「怖いならもう声かけないで。さようなら」



自転車を加速させて山本くんを振りきろうとした。



「あ!!もしかして、俺の後輩?俺の事好きだったりした?」



このバカは夜も遅い時間だというのに大きめの声で追いかけてきた。



頑張って逃げようとするがママチャリでバイト疲れの私はすぐに追いつかれた。


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