あの日の帰り道

言い訳に隠れた欲



その階段を一段上がった時。



相沢くんと手を握っていた事に気付く。



「えっ!?あ、相沢くん、手を……」



一体いつから!?



さっき抱きとめてもらった後、腕を引かれた感覚があった……その時から!?

階段が危ないって、私が階段で躓かないように手を握っていたの!?



「手??」



握っていた手を軽く挙げる。



そのまま挙げた手をグーパーさせて一瞬手が離れてはまた握られ、と繰り返してみせた。



………手が離れた隙に腕を引こう



そう思って身構えた時だった。



「いちゃついてないで早く行くよ」



笑顔の上杉くんに注意された。



………いちゃついて!?



思わず隣の相沢くんを見て驚いた。



思っていたよりかなり近い相沢くんの顔。



さっきは手を軽く握られてるだけだったが、私が指摘したから手を挙げた時にピッタリと右隣に寄り添うように相沢くんが立っていた。



私の右腕を小脇で挟んでグーパーしてたから、手でなく腕を引かないと離れられないって思ったんだ。



慌てて腕を引こうと思って手を動かすと、今度はその隙に指を絡められた。



「!?!?!?」


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