あの日の帰り道
その時ちょうど相沢くんが私達の方に向かってきた。
「晃司。お前、彼女なんていたの?」
いきなり直球を投げた上杉くん。
思わず青ざめる。
「………は?
それって咲季の事?」
今度は目を丸くして相沢くんを見た。
なんで私っ!?!?
上杉くんも驚いた顔で相沢くんを見る。
「………お前、咲季ちゃんと付き合っ」
「てないからっ!!」
思わず声を張り上げた。
私の声に相沢くんが吃驚したけどすぐに説明してくれた。
「咲季が前に帰り道で将也の兄貴にナンパされたんだよ。その時、俺の彼女だって言っただけ」
「将也の兄貴ぃ?
それは災難だったね〜って話じゃなくて。
お前が駅のホームで女と腕組んで話してたのを咲」
「上杉くんっ!!」
再度、慌てて声を張り上げる。
相沢くんが違うと言っていたのに、私が相沢くんの秘密かもしれない事を言ってしまったばかりに暴露されるなんて………。
「ホームで?
………って、あれは彼女じゃないってば」
相沢くんが突然私の手を握って目を合わせて否定してきた。