あの日の帰り道



「………咲季?」



異変を感じた相沢くんが腕を緩めて私を確認する。



違うっ!!
私はそんなキャラなんかじゃないっ!!



心の中で何度も否定するが、突然溢れだした涙は止まる事なく流れ落ちていた。



なんでこんな事になったの………。



半ば無理やり連れてこられて、付き合ってもいないのに相沢くんの彼女と言われる。



いつもならそんなこと言われても軽く流して否定してきたのに、今日は何故か頭が正常に動かない。



私なんかが相沢くんの彼女なんてなれるわけない。



そんな分かりきったことすらすぐに言えないなんて。



そもそも私に彼氏なんて必要ない。



高校卒業したらどうせ別れることになる。



だから彼氏なんていらない。



ずっとそう決めてバイトを頑張ってきたのになんでこんなことに………。



相沢くんの彼女。

ホームで見た可愛い子が彼女になる人なんだと安心していたのに。


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