あの日の帰り道
上杉くんが私の前に立つと相沢くんも拘束を解いて私の横に並び立つ。
そんな相沢くんのシャツを無意識に掴んで引っ張ると相沢くんが私の方を見た。
金田は質が悪すぎる。
上杉くんが巻き込まれたら大変だ。
そう伝えようとする前に相沢くんの柔らかい笑顔が見えた。
「大丈夫。俺ら喧嘩慣れしてるから」
すぐ耳元でコソッと聞こえた声にビクッと身体が反応する。
………俺ら?喧嘩慣れ?
顔が熱くなりながらも相沢くんの言葉を理解しようとした。
喧嘩慣れ!?
上杉くんと相沢くんが?
進学校の二人なのに喧嘩慣れ?あり得ないでしょ!
一人テンパる私の横で相沢くんは少しヤンチャな目で金田を見る。
余裕すら感じさせる相沢くんを見て、私も少しだけ落ち着いて上杉くんと金田を見た。