あの日の帰り道
「いいから早くコレ持ってってくれよ。
絞めてるのに彼女に異様に執着してる。
尋常じゃねぇよ」
「咲季ちゃんは俺のだっ」
上杉くんの声に反応する金田の声。
金田の声が聞こえる度にビクッと身体が強ばる。
「あれ?晃司、お前彼女いたの?」
「お前の兄貴に聞いてないのか?お前の兄貴、彼女をナンパしてきたんだぞ」
「はぁ??マジで?
そういや、お前に彼女いたのか聞かれたことあったけど……それか?」
相沢くんが誰かと話してる。
何の話かわからないけど、相沢くんが私を抱きしめながら他の人と話してる状況に居たたまれなくなる。
「え〜?そんなに彼女可愛いの〜?
気になるじゃん。顔見せて〜」
かなり耳元に近い位置から声が聞こえるけど、相沢くんに押さえられてる頭を動かすことが出来ない。
……動けてもこんな泣き顔を見られたくないけど。