あの日の帰り道


「いいから将也っ!早くこっちをどうにかしてくれよっ!」



上杉くんの声に、尚も暴れている金田の姿が目に浮かぶ。



「え〜、めっちゃ彼女気になるんだけど〜。
……ってか、晃司がマジで怖ぇんだけど」



将也?兄貴?

もしかして山本くんの弟?

前に相沢くん達が友達だって言ってたのを聞いていた。




「咲季っ!咲季ちゃんっ!」



また金田の声が聞こえて瞬時に身体が強ばる。

けど、相沢くんの手が私の背中を軽く擦る。


それだけで身体から無駄な力が抜ける。



どうしてか、相沢くんに触れられると緊張の糸も容易く緩められる。



だからもう相沢くんの側に居たくなかったのに………。



私は相沢くんが好きだから離れたとこから見てるだけで充分なのに……。

未来への足枷にしかならない思いを断ち切りたかったはずなのに……。


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