あの日の帰り道


俯いて再びシンとした微妙な空気が流れる。



「…………」



どれくらいかわからない沈黙の時が過ぎた。



「わかった」



はぁ、とため息をついた上杉くんが立ち上がって私のバッグから勝手にスマホを出した。



「勝手にストーカーするよ。ただ、万が一の為に連絡先は入れておくから」



私のスマホを操作する上杉くん。



その姿に思わず呟いた。



「ごめんなさい」



選べなくてごめんなさい。
すぐ口を閉ざしてごめんなさい。
面倒事に巻き込んでごめんなさい。



こんな私でごめんなさい。


< 77 / 248 >

この作品をシェア

pagetop