あの日の帰り道
「咲季ちゃん、この前晃司に言われて兄貴に話し聞いた。うちのバカ兄貴が迷惑かけてごめん」
「だ、大丈夫だよ」
隣に座った山本弟くんがいきなり謝ってくれた。
でも、さすがに私がお兄さんと同クラだったことは言えないや……。
………やっぱりお兄さんより弟のほうがしっかりしてるなぁ。
背格好はお兄さんとあまり差が無いけど顔はあまり似てないかも。
「こいつは彼女持ちだから安心だよ」
上杉くんがカラオケの端末をいじりながら山本弟くんを顎で指して言った。
相沢くん、上杉くん、山本弟くんと他のメンバー数人は中学からの友達らしい。
でも、合流した山本弟くん達は皆んな隣のヤンキー校に通ってる。
他の人も中学校は違っても小学校のクラスメイトや高校で知り合った人と様々だけど、山本弟くんを介して上杉くん相沢くんと知り合った気心知れた仲間だそうだ。
ちなみに山本兄も弟と同じ学校。
そうこうしてるうちに料理と飲み物が来て皆一斉に食べはじめた。
男子の食べっぷりに感嘆しつつ、皆が取り分けてくれたお皿に箸をつけた。
食べながら質問攻めにあうが、ほとんど上杉くんが答えてくれて助かった。
「でも俺らの黒歴史は暴露するなよ」
上杉くんは周りの皆に釘を刺してから歌いはじめた。