あの日の帰り道
「………将也、お前咲季ちゃんに何を言ったんだ?」
歌い終わった上杉くんが山本弟くんに詰め寄る。
「咲季ちゃんがまた塞ぎ込んじゃっただろ。余計な事言うなよっ!」
山本弟くんを軽く叩いた上杉くんの声で、自分はそんなに塞ぎ込んでたのかと少し焦る。
「私は全然平気だから気にしないでっ」
「それは無理。ってか、丁度いいから言っておく」
私にそう言ったと思ったら、すぐに皆んなに向かって口を開いた。
「お前ら聞け。今日呼んだのは咲季ちゃんと金田の事だ」
突然出た名前に思わず身体が強ばる。
「この前の金田を見ただろ?金田は去年、咲季ちゃんの事をストーカーしてたんだよ」
和やかだった空気が一変するのがわかる。
「警察沙汰になったくらいの執着なのはわかっただろ?
それで俺と晃司は咲季ちゃんが卒業するまで金田を近付けないと約束した。
それを手伝ってほしいんだ」