あの日の帰り道


上杉くんの宣言を聞いてビックリした。



もしかして最初からそのつもりで私をお昼に誘ったの?



一瞬静まり返った場の空気がすぐに和やかな雰囲気に変わった。



「なんだ。急に奢るって召集かけるから何事かと思ったわ」

「あ〜確かにあの時は晃司がガードしてて咲季ちゃんの顔見られなかったもんな〜」

「ってか、金田って退学してねぇの?」

「あいつ捕まえた方が早くねぇか?」



次々と声が上がる中、上杉が全て答えてくれる。



「金田は軽犯だけど逮捕されてない。
あいつはこの近くに家があるから今まで咲季と出会わずに済んでた。
けどこの前偶然、電車で咲季ちゃんを見つけたからきっと駅や電車を張ると思う。
だからお前らには金田か、一人でいる咲季ちゃんを見つけたらすぐ俺らに連絡してほしいんだ」


「……連絡だけでいいのか?捕まえたほうが早くね?」

「現行犯じゃなきゃ捕まえられないだろ」

「警察出してもどうせ軽犯だからすぐ釈放されるな…」


皆んな面倒くさそうな素振りもなく、色々と意見出してくれる。

その光景を見てるだけで胸が詰まった。


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