あの日の帰り道
優しさに託つけて
結局、カラオケ店に行っても飲み食いと話がメインで、私以外の皆んなが一曲づつ歌っただけで解散した。
とにかく、今日は金田に会わなくてよかった……。
皆んなとお昼を食べてたから前回と同じ時間の電車に乗らずに済んだ。
朝から早くから同行してくれて、皆んなを呼んで協力要請してくれて、帰り際に図書館まで送ってくれた上杉くんには感謝しきれない。
その後、閉館時間まで図書館で勉強してからいつものマックに寄った。
夏休みもあと一週間しかない。
また学校に行くようになって金田に会ったら……と考える度に気持ちが沈みかける。
………今は勉強したくないな。
テーブルの上のスクールバッグをジッと見つめながら今日の出来事を思い出した。
その時、ふと席の前を通った男女に目が留まった。
恋人つなぎで仲良さそうに歩く二人。
………いいなぁ……。
!!!
私、今、いいなぁって羨ましがってた!?
なんでっ!?
頭の中で一人で羨ましがって、羨ましいと思った自分に焦って、そしてまた気落ちする。
自分で自分が居たたまれなくなり、バッグを抱え込んでテーブルの上にうつ伏せた。
見るな。羨むな。
忘れろ。
忘れろ。
忘れろ。
必死に自己暗示をかける。
私に彼氏はいらない。
必要ない。